クロマグロやミナミマグロ、ビンナガマグロなど地球上に存在するほぼ全てのマグロたちが人間による乱獲や自然環境の崩壊などによって個体数を減らしています。
世界でも有数のマグロ消費国家である日本では、1970年より近畿大学にてクロマグロの完全養殖に向けた研究が始められ、2002年に天然クロマグロの種苗を養成した親魚から産卵・孵化させた人工種苗を育成した人工親魚から採卵・孵化させて人工種苗を育成する完全養殖に成功しています。
2007年には、マグロ養殖業者に向けた人工種苗の販売を開始し、今では民間企業のあいだでもマグロの完全養殖に関する研究が積極的に行われるようになりました。
しかし、マグロの完全養殖から半世紀近く経過した現在、完全養殖マグロの出荷量は年間300トン程度と低く、天然マグロに代わりえる存在にはなっておりません。
実は完全養殖のマグロを安定して出荷するためには、マグロの赤ちゃんの生態に関する情報不足による生存率の低さ、マグロの産卵条件の難しさ、マグロのエサ問題など様々な要素を1つ1つ解決してゆかなければなりません。
そんななか、愛媛県ではマグロでも無いカツオでもない全身トロの新しい高級魚「スマ」の完全養殖に成功したというニュースが日本を駆け巡りました。
マグロでもカツオでもない全身トロの魚・スマとはいったいどのような魚なのでしょうか。
スマとは?
2013年、愛媛県は「スマ」と呼ばれる魚の養殖技術開発に愛媛大学と共同で取り組み、2016年に完全養殖に成功したと発表しました。
スマは成長速度がマグロよりも早く、養殖すると味わいがマグロに近くなることから、近年マグロに次ぐ重要な養殖魚として研究の対象になっています。
愛媛県で完全養殖に成功した「スマ」の魅力とは?
南方系の大型回遊魚であるスマは、日本では滅多にお目にかかることができない幻の高級魚と呼ばれており、愛媛県は幻の高級魚「スマ」の完全養殖へ向け、2013年から愛媛大学と共同で取り組み、2016年に見事スマの完全養殖に成功したのです。
愛媛県はこの完全養殖で誕生したスマに「伊予の媛貴海(いよのひめたかみ)」と命名し、近畿圏を中心に続々と展開して行くことを明らかにしました。
現在、伊予の媛貴海は人気番組「満点★青空レストラン」をはじめ、「シューイチ」や「特ダネ」などのテレビ番組やグルメ雑誌、インターネットの情報サイトなど様々なメディアで特集されており、「奇跡の魚」と呼ばれています。
今回は愛媛県で完全養殖され話題となった「スマ」についてご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。全身トロのスマは、柔らかな食感とマグロよりもサッパリとしていてクセが全くないと評判を集めており、マグロが苦手な方からも注目を集めており、今後絶滅危惧に引き上げられたマグロの代わりとして日本の食卓の定番となる日も近いのではないかと噂されています。
もし興味を持たれた方は「スマ」をお取り寄せ、もしくは、休日を利用して愛媛県まで足を運んでみてはいかがでしょうか。