今まで「男性の趣味」というイメージであった「釣り」が、2011年ごろから女性のあいだでも釣りがブームとなりつつあり、男性に交じって釣りを楽しんでいる女性の姿を見かけることが多くなりました。
こうした釣りを趣味とする女性のことを「釣りガール」と呼び、最近では可愛らしいネイルとオシャレなウェアに身を包んだ女性たちがゴカイやイソメ、マムシ(本虫)などを男性に頼ることなく、しっかりと自分で釣り針に付けて海釣りを楽しんでいる様子を見ると、本当に楽しそうです。
ですが、彼女たちのようなオシャレで可愛い釣りガールになりたいという女の子も多いと思いますが、まずは魚の食性や生活、釣れる時期などを詳しく知っておく必要があります。
そこで、今回はもうすぐ旬を迎える日本の食卓に欠かせない「鯵」の生息地や食性などについてご説明します。
鯵とはどんな魚なのか
鯵とは、スズキ目アジ科アジ亜科に分類される魚の総称であり、日本では主に「マアジ」のことを表す言葉として用いられています。
マアジは、「居つき型」と「回遊型」の2つに分けられており、私たちが普段食べているマアジは「居つき型」となります。ところで、「居つき型」と「回遊型」のマアジでは、生活環境にどのような違いが生まれるのでしょうか。
居つき型と回遊型の違い
日本人が「鯵」と呼んでいる魚の多くは「マアジ」のことなのですが、マアジには「居つき型」と「回遊型」の2種類あり、それぞれ生息地や体格、味などが若干異なります。
居つき型マアジの特徴
・北海道から九州地方までの沿岸域で群れを作って定着している。
・餌が豊富な場所に居つく習性がある。
・水深があり潮の通りが良い瀬や岩礁帯などを好む。
・回遊性が弱く、広範囲の移動を好まない。
・体高が高めで背中部分が薄く黄色みがかっている。
・肉質は白身魚に近く、クセの少ない淡白な味わいと脂のりの良さが魅力。
・大分県や長崎県、愛媛県などではブランド化が進んでおり、高級魚として扱われている。
回遊型マアジの特徴
・沿岸から外洋にかけて広範囲を定期的に大移動している。
・季節によって長距離の回遊ルートが存在し、春から夏にかけて北上し、秋から冬にかけて南下する。
・ブランド化が進む「キアジ」に比べ、体高が若干低く、スマートな体型をしており、体色がやや黒っぽい。
・上質なものは青物に近く、脂肪分が少ないため「キアジ」に比べるとやや劣る。
・漁獲量が多いので、スーパーやデパートなどでよく見かける。
なかには中間的な性質を持つ鯵もたくさんいます。
また、回遊型マアジと居つき型マアジは物理学上同一種であることから、餌が豊富で住み心地の良い環境を見つけてしまうと居ついて、居つき型マアジと同じ特徴を示すようになることがあります。
鯵の生態【食性】
居つき型も回遊型も同じ染色体 (遺伝子)を持っているマアジですが、いったいどのような餌を好んで食べているのでしょうか。
基本的に鯵は1歳を迎えると大半が沖合で生活するようになるのですが、一部の鯵は瀬付きとなり、水温が低くなると水深のある場所へと移動を始めます。
そのため、漁師さんたちは水温が高くなる時期に移動を始めたアジを漁獲することが多く、スーパーやデパートなどの鮮魚コーナーで見かける鯵の大半が瀬付きアジだと言われています。
鯵は毎日餌を食べる魚であり、なんと食べたその日の夜には消化してしまうそうです。
そのため、餌が豊富な場所を見つけると回遊型であっても、その場に居ついてしまうことが多々あります。
鯵が最も活発に餌を食べる時間帯は夜明けと日没後のしばらくのあいだであり、逆に8時から16時、夜明け前の8時間から10時間は絶食状態となりますので、鯵目当ての釣り人さんは彼らの食事時間を知っておくと、たくさん釣ることができます。
鯵の生態【生息地】
鯵の生息地域は表層から水深150m付近だと言われていますが、回遊型の場合、沿岸から沖合の中層ならびに低層10mから100m前後に生息しており、幼魚のときは水深1mをきるような浅場に住んでいます。
ただ、鯵は成長すると目の構造上、強い光を嫌うため、水深1mなどの極端な浅場に近付くことはありません。
また、鯵は低い水温が苦手な魚ですので、水温13℃以下になるとほとんど餌を食べなくなってしまいます。
そのため、回遊型のマアジやイワシ、サバなどと同じく、居つき型のマアジたちも秋から冬の時期にかけて、比較的水温の高い場所まで南下して越冬するそうです。
今回は鯵の食性や生活、生息地などについてご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
・鯵は低水温が苦手
・光を極端に嫌う習性がある
・目の構造上、下からの餌に敏感な肉食系
といった特徴を持つ魚ですので、これから鯵を釣りに行くという方は、この機会に鯵の習性について学んでおくと良いでしょう。