大間のマグロとは|過去最高値とマグロ漁師の年収

本州最北端に位置する青森県大間市は、古くから漁業を中心に栄えてきた町であり、津軽海峡の荒波に揉まれながら力強く育った昆布などの海藻類やウニ、アワビ、イカなどの新鮮な海の幸が獲れる自然豊かな地として知られていますが、そのなかでも特に有名なのが「大間のマグロ」です。

大間のマグロといえば、毎年東京都築地市場で行われる新春恒例のマグロの初セリにて高値を付けることで話題となっていますが、なんと2013年の初セリでは史上最高値の1匹1億5540万円をつけ、日本だけではなく世界を驚かせました。

その結果、「大間のマグロ漁師=億万長者」というイメージが付いてしまい、安易な考えでマグロ漁師になろうとする方が増えているようです。

そこで、今回は大間のマグロがこんなにも人気があるのか、本当に大間のマグロ漁師さんは億万長者なのかをまとめてみました。

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大間のマグロが人気の理由

2013年1月5日に東京都築地市場で行われた新春恒例のマグロの初セリにて史上最高値1億5540万円をつけた大間のマグロですが、なぜ大間のマグロはこんなにも高値で取引されるのでしょうか。

大間のマグロが新春恒例の初セリで高値を付ける理由は、

・大間で獲れるマグロが丁度お正月前後に旬を迎えるから
・年末年始は高くても美味しいものを食べたいという人が多いから
・初セリはご祝儀相場もあって高値がつきやすいから

など、様々な理由が考えられます。

しかし、大間のマグロに限らず、冬の津軽海峡周辺で漁獲されるクロマグロは品質が良いのは漁業関係者ならば誰でもご存知のはずなのに、なぜ大間のマグロばかりがこんなにもスポットライトを浴びているのでしょうか。

津軽海峡を挟む青森県と北海道には大間をはじめとした漁港がたくさんあります。

この地域では毎年10月から12月にかけてクロマグロ漁港へと変貌するのですが、大間で水揚げされているマグロは一本釣りで漁獲されているため、大量に獲ることはできないものの、マグロが弱ってしまう前に後処理を行い、体表に傷がつきませんので、鮮度を保った状態でマグロを出荷することが可能となっています。

そのため、大間のマグロは津軽海峡で漁獲・水揚げされた他の地域のクロマグロよりも高値が付きやすく、高級マグロとしてたいへん重宝されているのです。

大間のマグロ漁師さんは儲かっているの?

大間のマグロは毎年早春初セリにて高値を付けていることから、「大間のマグロ漁師=億万長者」と思っている方も多いと思いますが、毎年年末年始や早春に放送される大間のマグロ漁師さんたちのドキュメント番組を見ると、とても質素な生活を送っておられます。

2013年の早春初セリにて史上最高値1億5540万円の値をつけた青森県大間産のクロマグロですが、1億5540万円のうち、5.5%は荷受会社、4.0%が大間漁港、1.5%が青森県漁連に入り、残る1億4000万円には最高税率40%の所得税が発生するため、クロマグロを釣りあげた男性の手取りは8,300万円ほどになります。

しかし、来年には住民税10%(1400万円)が引かれ、さらに購入した船の支払いや漁に出るために必要な燃料代、マグロを釣るために必要なエサ代などを考えると、1億5540万円はあっという間に消えてしまいます。

一般的な漁師さんの月収は漁業形態によってかなりの差があり、1ヶ月0円というときもあれば30万円以上というときもあるそうです。

「大間のマグロ漁師=億万長者」と思っていた方も多いと思いますが、大間で活躍されているマグロ漁師さんたちは、“お金”よりも“漁師としてのプライド”を賭けて戦っているのです。

今回は大間のマグロについてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。

大間のマグロは毎年1月5日の早春初セリにて高値をつけており、マグロ漁師になれば儲かると考えている方も多いと思います。

しかし、現実は1970年代から始まった原因不明のマグロ漁停滞期や温暖化の影響などによるシーズン変化などによってマグロが釣れないことも多く、2014年にはクロマグロが「IUCNレッドリスト」にて「軽度の懸念」から「絶滅危惧」へと引き上げられたことで、世界から冷ややかな目で見られています。

それでも大間のまぐろ漁師さんたちは、「おいしい大間のマグロを食べたい」と思っている方々のために、限られた漁期のあいだ一本釣りで一生懸命マグロを釣っているのです。

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