北海道や東北地方に古くから伝わる伝統料理のひとつ「鮭とば」をご存知ですか。
「『鮭』が付くぐらいだから、鮭料理の1種であるのは何となく分かるけど、『とば』ってなに?」と疑問に思われる方もたくさんいらっしゃると思います。
鮭とばとは、9月から11月にかけて旬を迎える秋鮭 (白鮭)を半身におろし、皮が付いた状態で縦に細く切ったものを海水で洗い、強く冷たい冬の潮風に当てて乾燥させた保存食のことです。
鮭とばを日本で初めて作ったのは、北海道・樺太・千島列島に居住していた先住民族アイヌの人々であり、鮭とばの定番となっているあの細長く縦に切って乾燥させるというアイディアは、アイヌの人々が考案したオリジナルのかたちだと言われています。
ところで、鮭とばの「とば」ってどういう意味があるのかと気になっている方も大勢いらっしゃいますよね。
この「とば」という言葉には、様々な説があり、1つがアイヌ語で「群」や「鮭を切ったもの」という言葉を表す「tupa (トゥパ)」という言葉が長い年月をかけて「とば」と変化した説、もう1つが、鮭とばを漢字で書くと「冬葉」となることから、寒さの厳しい「冬」に鮭の身を細長く切って乾燥させている様子がまるで木枯らしに吹かれている「葉っぱ」のように見えたことから、「鮭冬葉」で「鮭とば」と呼ばれるようになった説です。
どちらも有力な説ではあるのですが、現在ではアイヌ語の「tupa」を起源とする説が有力視されています。
さて、北国に古くから伝わる伝統の鮭料理「鮭とば」ですが、もし自宅で作るとしたらどんな材料が必要になるのでしょうか。
今回は、鮭とばの作り方と食べ方、をご紹介します。
鮭とばの簡単な作り方
北海道や東北地方に古くから伝わる鮭料理「鮭とば」を1度食べてみたいけど、地元のスーパーやデパートには売っていなくて困っているという方は、鮭とばを自宅で手作りしてみてはいかがでしょうか。
鮭とばの作り方はとっても簡単で、新鮮な生鮭を脱水シートで丁寧に包み、20時間ほど冷蔵庫で寝かせ、1.5cm幅になるよう縦に細長く切ってゆきます。そして、クッキングシートを敷いたオーブンの天板の上に、細長く切った生鮭を重ならないように並べてゆき、100℃に設定したオーブンで1時間ほど焼き、ひっくり返して、さらに1時間焼いたら完成です。
余熱をせずにそのままオーブンへ入れて100℃で焼き上げることがポイントです。
旬を迎えた秋鮭を使って作る鮭とばは絶品ですので、この機会に鮭とば作りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。