鮭の餌・食性について|鮭のとは

河川で生まれた鮭たちは、海に下った後、およそ4年という歳月をかけて成熟し、母川回帰の習性によって生まれた河川へと戻ってきます。

日本の河川で生まれた鮭たちは、成熟するまで夏と秋はベーリング海で過ごし、冬になると越冬のために水温5度前後の冷たいアラスカ湾へと移動します。

アラスカ州デナリ国立公園

なぜ水温の低いアラスカ湾へ移動して越冬するのかという詳しい理由は解明されておりませんが、おそらく身体を低水温にさらすことで代謝活性を抑制しようと考えてのことではないかと推定されています。

このことから、鮭たちはベーリング海で過ごす夏と秋の時期にたくさん餌を食べて大きくなるのではないかと云われており、ベーリング海の環境次第で、日本で漁獲される鮭の成長や成熟度合、日本への回帰に大きな影響を与えるとされています。

さて、そんな鮭たちですが、ベーリング海ではいったいどのような餌を食べているのでしょうか。

そこで、今回は日本で生まれた鮭たちが普段何を餌にしているのか、鮭の食性についてご説明します。

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鮭の食性について

日本生まれの鮭たちが暮らしているベーリング海では、彼らが高次捕食者となるため、キタノホッケ稚魚やテカギイカ科イカ類などの小型魚類や頭足類、オキアミ類やウミノミ類などの動物プランクトンを捕食して生活しています。

しかし、ベーリング海には鮭と同じ、サケ科サケ属に属する「カラフトマス」も分布しているため、カラフトマスの分布量によって鮭の食性が変化することが、近年の研究によって明らかにされました。

ベーリング海に分布するカラフトマスたちは、ロシアのカムチャッカ半島の東海岸生まれの個体が多く、そのうち奇数年生まれの集団の方が、偶数年生まれの集団に比べ、非常に多いため、奇数年の年はベーリング海の魚類や動物プランクトンが占める割合が低くなります。

鮭とカラフトマスは、同じサケ科サケ属の魚類であり、ほぼ同じ食性を持っているため、カラフトマスが増える奇数年は、鮭の餌が必然的に少なくなってしまいます。

ただ、鮭は他のサケ科の魚類と異なり、季節や時間帯によって食べる餌が異なる動物食性の魚ですので、その時々で食べる餌を柔軟に変更することができる日和見的食者なのではないかと言われています。

今回、鮭は普段何を餌にしているのか、鮭の食性についてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。

日本で生まれた鮭たちは、成熟するまでの4年から5年間を太平洋最北部の縁海「ベーリング海」で過ごすのですが、立派に成熟した鮭たちはベーリング海で最後の夏を過ごすと、産卵のため河川への遡上を始めます。

そのあいだ、彼らは餌を一切口にしないため、産卵後は死に絶えてしまいます。

日本の鮭たちは、産卵を無事に終えるため、季節や時間帯によって食べる餌を変化させています。

鮭の一生は人間と比べると非常に短いですが、彼らがどのような餌を食べているのかを知ることで、鮭に対する考え方が少し変わるのではないでしょうか。

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