幅広い世代から愛されている「鮭」ですが、日本では主に「白鮭 (しろざけ)」のことを表す言葉として用いられていますが、中国では黄河に生息している「河豚 (ふぐ)」のことを表す言葉となっており、国によって「鮭」の使い方が異なるそうです。
「そうなの?」とたいへん驚かれた方も多いと思いますが、日本で「鮭」という言葉がサケに使われ始めたのは室町時代からであり、サケのかたちが「スッキリとした美しい三角形」をしていることから、魚編に圭と書いて「鮭」と呼ばれるようになったと言われています。
ちなみに、中国ではサケのことを「生臭い魚」という意味が込められた「鮏」と呼ばれています。
ところで、なぜ「鮭」が「サケ」と呼ばれるようになったのかと疑問に思った方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は「サケ」の名前の由来ついてご説明します。
「サケ」の名前の由来とは?
サケ目サケ科の海水魚である「サケ」は、産卵期である秋が近付くと、生まれ育った河川を遡上する母川回帰性という習性を持つ魚です。
日本で「サケ」と呼ばれるようになった由来は、
- 「裂ける」が「サケ」となった説
- 鮭の紅色の身を語源とする説
- アイヌ語を起源とする説
など、諸説あります。
では、それぞれの名前の由来に関する仮説についてご紹介します。
1.「裂ける」が「サケ」となった説
鮭の肉は筋が多くて裂けやすいこと、稚魚から成魚になるまでに胸腹が裂けていること、産卵の際に腹部が裂けることなどが由来ではないかという説です。
1699年に記された「日本釈名」には、「サケは裂なり、其の肉片裂け易し、他の魚に変はれり」とあり、さらに1777年より刊行された「和訓栞」には、「サケは裂の義、その肉、片々裂け易し」とあります。
2.鮭の紅色の身を語源とする説
鮭の身は、とても鮮やかな紅色をしていますが、この紅色がまるで酒を飲んで酔ったかのような色彩をしていることから、漁師さんたちのあいだで「酒気 (サカケ)」と呼ばれるようになった説と「朱 (あけ)」が点いて「サケ」となった説の2つあります。
3.アイヌ語を起源とする説
北海道・樺太・千島列島の先住民族「アイヌ」の言葉で、夏の食べ物を表す「サクイベ」や「シャケンベ」という言葉があり、この言葉は「鱒 (マス)」を表す言葉にも通じていると言われています。
また、アイヌの古語で大きいサイズの鮭のことを「スケ」と呼ぶそうで、これらの言葉が転じて「サケ」となったのではないかと考えられています。
現在、「サケ」の名前の由来として最も有力視されているのが、アイヌ語を起源とする説です。
その他の説は、学者や地域によって微妙に見解が異なることが信憑性を欠いているのだそうです。
今回は鮭の由来についてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
日本では「鮭」で通じる言葉も中国では、黄河に生息する「河豚」を表す言葉となります。
また、「サケ」という名前の由来を知ることが日本の食文化を知るきっかけにもなりますので、これを機に「鮭」について、いろいろと学んでみてはいかがでしょうか。