クロマグロ・本マグロとは|マグロの種類

「黒いダイヤモンド」と称されるクロマグロは、太平洋北部ならびに大西洋暖海域を生息域としており、北半球を中心に活動をしているため、南半球を訪れることはほぼありません。

クロマグロは体長4m、体重600kgのマグロ界No.1の体格を誇る大型種であり、なんと時速80kmから90kmで泳ぐことができるため、1日に100kmもの距離を泳いでいるそうです。そのため、わずか2ヶ月で太平洋を渡り、九州地方からアメリカまで高速で移動することができます。

日本では「マグロ」といえば、このクロマグロのことを指すと言われるほど国民から愛されており、なかでも腹部の脂がたっぷりのった「トロ」は、最高級の寿司ネタとして人気を集めています。

そんなクロマグロですが、2014年11月に国際自然保護連合が「IUCNレッドリスト」を改訂したことで、新たに日本近海に生息するクロマグロが絶滅危惧種に指定され、世界で漁獲されているクロマグロの大半を消費している日本へ海外から厳しい目が向けられています。

そこで今回は、なぜ日本人はクロマグロをこよなく愛しているのか、どうしてクロマグロが絶滅危惧種に指定されてしまったのかなどについて詳しくご説明します。

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なぜ日本人はクロマグロが好きなのか

現在、日本の市場ではクロマグロの他に7種類ものマグロが出回っているのですが、なぜか私たち日本人はクロマグロを愛してやみません。

なぜ日本人はクロマグロが好きなのでしょうか。

クロマグロは、漁法・産地・餌・部位などによって味わいが変化する魚として知られており、食べたときに味わえる複雑さと凝縮感が私たち日本人を虜にしていると言います。

例えば、鳥取県境港で水揚げされている本マグロは夏場にまき網漁でクロマグロを漁獲しており、血抜きをせずに水揚げされるため、色変わりしやすく鮮度落ちも早いのですが、くちに入れると酸味が感じられ、赤身はさっぱり、中トロと大トロはあっさりとしています。

一方、毎年世間を騒がせている青森県大間の近海本マグロは一本釣りで漁獲されているため“やけ”は多いものの、品質と脂のりが共に最高であり、赤身は舌にねっとりと絡みつき、後口の良いほのかな旨味が感じられ、大トロはじんわりと広がる上品な甘みと渋味を楽しむことができます。

ただ、本マグロの複雑な味わいに抵抗を感じる方も多々おりますので、おいしい本マグロを買うためには目利きのプロに好みを伝えて選んでもらうのがオススメです

クロマグロが絶滅危惧種に指定された理由とは?

2014年11月に国際自然保護連合「IUCN」が絶滅の恐れがある野生生物76,199種のうち、22,413種が絶滅の危機にさらされていると発表し、「IUCNレッドリスト」の改訂が行われました。

今回改訂された「IUCNレッドリスト」には、日本人がこよなく愛する北太平洋に生息するクロマグロも含まれており、これまで「軽度の懸念」とされていたのが「絶滅危惧種」へと引き上げられ、今後は保護対策などが求められ、クロマグロの完全養殖などの研究が重要な課題となってくると予想されています。

今回クロマグロが絶滅危惧種に引き上げられた主な原因は、

・世界で漁獲されるクロマグロの大半を日本が消費していること
・産卵する前の未成魚のうちに漁獲されていること
・世界で日本食がブームとなっており、クロマグロの需要が世界中で高まっていること

などが挙げられ、特に日本はクロマグロの漁獲規制が緩いため、世界からクロマグロ漁業者に対して厳しい規制を設けるべきだと批判されています。

日本は年々減少しているクロマグロを回復させるために国際組織「WCPFC」にて、日本主動の国別クロマグロ漁獲枠を設定しました

そして、2016年7月から2017年6月末までクロマグロの漁獲上限4,007トンと定めたのですが、なんと2017年4月27日時点で漁期2ヶ月を残してクロマグロの漁獲量が4,008トンに達してしまい、今後ますます漁獲量が増えることが確実視されています。

この超過した分は翌年のクロマグロ漁獲枠4,007トンから差し引かれるため問題無いとしているが、マグロの産地では近年稀に見るクロマグロの来遊によって、国の承認を受けていない漁業者によるクロマグロの漁獲が行われており、今後日本政府がクロマグロ規制に関する対策をどのように行うのかが注目となっています。

今回は日本人がこよなく愛するクロマグロについてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。

日本では絶滅危惧種に指定されたクロマグロの養殖に取り組んだり、独自の規制を設けるなどの対策を行っているのですが、思ったとおりの成果が得られていないのが現状です。

現在、「日本は他国に厳しく、自国に甘い」と海外から批判されており、今後ますます日本に対する風当たりが強まると予想されています。

今まで当たり前のように食べていたクロマグロですが、今後は私たち消費者もこの事態を真摯に受け止めて考えてゆくことが重要となっていくでしょう。

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