鮭の飯寿司の作り方と食べ方|鮭の歴史

「鮭のまち」として有名な新潟県村上市には、実に100種類以上の鮭料理が存在すると言われており、そのなかでも特に有名な鮭料理が「鮭の飯寿司 (いずし)」です。

村上市の方々にとって、鮭の飯寿司は、お正月に欠かせないご馳走であり、毎年11月頃になると獲れたて新鮮な鮭を購入し、お正月へ向けて仕込みを始めるそうです。

「ところで、鮭の飯寿司ってなに?」と不思議に思われた方も大勢いらっしゃるかと思います。

鮭の飯寿司とは、古くから日本で食べられている「熟寿司 (なれずし)」の1種であり、冷蔵庫が無かった時代、獲った魚を長期間保存するための知恵として生まれた料理です。

魚とごはんを漬け込み、発酵させて作られる熟寿司は、強烈な発酵臭と強めの酸味を感じされるクセのある味わいのため、苦手な方も大勢いますが、村上市をはじめ、北海道・東北地方にかけて冬の寒い時期に作られる「鮭の飯寿司」は、低温でゆっくり発酵させて作られていますので、熟寿司のなかでは、比較的臭いが穏やかで、クセも強くなく、ごはんの甘さと乳酸によって生まれる絶妙な酸味のバランスを堪能することができます。

そんな北海道・東北地方に伝わる「鮭の飯寿司」ですが、新潟県村上市では、毎年産卵のために秋から冬にかけて河川へと戻ってくる天然の秋鮭を使って作られる鮭料理のため、お店によっては、季節限定の商品として扱われており、通年を通して購入することができません。

そこで、今回は新潟県村上市民のお正月に欠かせない伝統鮭料理「鮭の飯寿司」を自宅で手作りする方法をご紹介します。

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村上市民のお正月に欠かせない「鮭の飯寿司」の作り方

熟寿司の1種である飯寿司ですが、熟寿司とは異なり、魚をごはんに漬ける際、糀や野菜も一緒に漬け込んで作られています。なかでも糀は、ごはんの糖化を促し、乳酸菌の発育を活発にさせる重要な役割を担っているため、必ず忘れずに用意しましょう。

では、さっそく「鮭の飯寿司」の作り方をご紹介します。

材料
  • ・塩鮭:2本
  • ・人参:大きめのサイズを3本
  • ・大根:大きめのサイズを4本ほど
  • ・キュウリ:6本
  • ・米:1升
  • ・お酢:少量
  • ・生姜:適量
  • ・糀:適量
  • ・お酒:2合
  • ・砂糖:4カップ
  • ・塩:1カップ
  • ・味の素:30g
  • ・白米:適量

作り方
  1. 飯寿司を作る3日から5日ほど前から塩鮭2本を水に浸けて塩抜きし、3枚におろして1口大にカットします。
  2. 飯寿司作り当日に白米を炊き、しっかり冷ましておきます。
  3. 冷ました②に糀・味の素・砂糖・塩を加えて混ぜます。
  4. 人参と大根を短冊切り、キュウリを輪切り、生姜は千切りにしておきます。
  5. ③のごはんと④の野菜を混ぜ合わせ、用意しておいた樽の中に入れ、1口大にカットした鮭を並べて、その上からお酢を手でふりかけます。これを順に繰り返して樽の中で重ねてゆき、最後に笹を敷いて蓋をします。
  6. 重しは一晩置いた後から乗せるようにし、3日から1週間は15kg前後の重しを乗せ、その後80kg前後の重しと交換して、1ヶ月ほど寝かせます。
  7. 食べる前に水きりを行い、樽ごとひっくり返し、軽めの石を乗せて2時間ほど置いたら完成です。
おいしく作るポイント

・塩抜きした鮭をお酢のみでしめると、身が硬くなってしまうので、お酒やみりんなどで和らげると風味が増して美味しくなります。

・わさび醤油や七味唐辛子などを付けて食べると、より一層美味しくなりますのでお試しください。

今回は、新潟県村上市をはじめ、北海道や東北地方で食べられている伝統鮭料理「鮭の飯寿司」についてご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。

鮭の飯寿司を手作りする場合、1つ注意しなければならないことがあります。

それは、「ボツリヌス食中毒」です。経験不足の方が鮭の飯寿司を作ると、ボツリヌス菌の増殖を促してしまう恐れがありますので、食中毒が心配な方は無理して自分で作ろうとせず、徹底された衛生管理のもとで作られた鮭の飯寿司をお店で購入するようにしましょう。

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